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実際には存在しない設備は除却する

読売新聞社が約4億7900万円もの申告漏れを東京国税局から指摘され、重加算税を含めて約1億7500万円の追徴課税を受けたそうです。
そのうち「悪質な所得隠し」とみなされて重加算税の対象になった約1億8600万円は、廃棄したとして除却されたはずの輪転機がまだ同社内に保管されていたことが指摘されたものです。

使わなくなった設備等の資産について、その帳簿価額を経費(除却損、廃棄損など)として計上することを除却といいます。ただし、使わなくなったからという理由だけで除却できるわけではなく、原則としてその設備等を解撤(船舶の解体のこと)、破砕(スクラップ化すること)、または廃棄などする必要があります。つまり、使える状態で保管されている場合は基本的に除却はできません。

これを逆にいえば、存在しない設備等は除却することが可能です。実際には存在しない設備が償却資産台帳に記載されているケースは意外と多いものです。見落としがちなのはパソコンやプリンターなどの比較的小型のOA設備で、どこかにしまいこんでいると勘違いしていることが良くあります。

また、ソフトウエアなどの無形固定資産も見落とされがちです。ソフトウエアは破砕、廃棄などをすることができませんが、そのソフトウエアの対象となる業務が廃止されていたり、他のソフトウエアを導入したりして、利用しなくなったことが明らかになった場合には除却できます。ただし、ソフトウエアの一部を引き続き利用している場合など、明確に利用されていないということが説明できない場合は除却が認められないことがあります。

ケース的には少ないですが繰延資産も要チェックです。商店街アーケードなどの共同施設や公共施設の負担金はその施設が無くなった時点で除却できますし、契約金などもその契約が解約された時点で除却することができます。

なお、設備を使える状態で残していても除却できる方法もあります。これを有姿除却といいます。ただし、有姿除却が認められるには、その設備等が二度と使われないということを証明する必要があり、意外と大変な作業になる場合があります。記念として展示しておきたいなどの特別な理由がなければ、破砕、廃棄などをして通常の除却をするほうが良いと思われます。

少なくとも決算前には償却資産台帳などの帳簿を基に、その設備等や権利が存在しているかどうか、利用されているかどうかなどをチェックしましょう。除却できれば法人税や固定資産税の節税になります。

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